あっせんとは (主に労働局紛争調整委員会によるもの)


1、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年10月施行)により、あっせんは始まりました。

 個別労働紛争とは、事業主と労働者個人の労働関係上の紛争を指します。なお、労働者の相手方は会社だけであり、裁判のように会社と取締役等個人の両方を相手方とすることはできません。  ※裁判所において社労士は弁護士と組み補佐人業務をすることができます。

2、あっせんは紛争当事者による自主的な解決を促進する目的で行われる。具体的には、両当事者の主張に対しあっせん委員が調整を行うもの。

3、強制するものではない。相手方があっせんに参加するしないは自由である。

4、また、参加したとしても合意しなければならない義務もない。

5、両当事者の主張調整が進み、それなりに相応な見解が出てきたところで、紛争を長引かせることや複雑にさせるのではなく、当事者に簡易迅速な解決をしてもらうことを目的とする。

6、民事的な内容の他、行政指導対象項目(法律規定事項関係)が含まれる場合、行政指導がまず優先される。 ※労働委員会によるあっせんは区別なし。

7、管轄は勤務地で決まる。

8、当事者が申請人となる。

9、特定社労士はあっせん当日に代理することができる。

(当事務所では、特に事情がなければ本人と共に出席することを推奨しています。裁判と異なり、法規定に反しているか否かを問題にするものではなく、本人が合意するかどうかで終結する性質のため、専門的な判断だけで解決するものではないからです。本人と共に出席する場合その場だけ補佐人として許可されることが多い。)

10、あっせん委員は、解決の見込みがないと判断したときは打ち切ることができます。

11、上記打切り後、あっせんと同一請求内容で30日以内に訴訟提起した場合は、あっせんの申請時に時効が中断したものとみなします。

12、あっせんは非公開です。両当事者はそれぞれの控室に待機し、交互にあっせん室に呼ばれ、あっせん委員に主張したりあっせん委員の調整を受けたりすることで、和解内容を詰めていきます。

13、あっせんでの和解契約書=合意文書の性質は、当時者のみを拘束する私人間の文書ですが、紛争調整委員会における個別労働紛争解決促進法に基づくあっせんの結果の合意ということが明記された文書ですので、不履行は発生しにくい。

14、あっせんは原則半日で終わります。申請後1〜2か月前後に期日が決まります。


 ADR 《交渉・調停(あつせん)・仲裁》のニーズ

  「適切な解決」を効率よく、提供するもの。

  専門知識を持った第3者が関与するもの。

  日常的なトラブルに柔軟に対応するもの。


 特に適しているケース

    

    ・労働条件通知書がなく、労働条件が労使ともに不明のため、長期泥濘化する      おそれがあるもの。

    ・証拠保全などは必要なく、問題の解消にあたって労使間で異論はないが、決め

     手に欠けている状態であるもの。

    ・問題の蒸し返しが発生しないよう、解決したいとき。